医療事務の資格を取って、いざ医療機関へ就職してみたらレセプト請求業務以外にも覚えることがたくさんあることに戸惑う人が多いのが医療事務現場の現状です。中でも見ず知らずの書類を目にすることが多く、処理に困ることも。
いきなり初見の文書が自分のところに回ってきても慌てないよう、この記事では覚えておくべき文書の種類や注意点などをご紹介します。
目次
よく目にするのは「診療情報提供書」と「診断書」
どこの医療機関に勤めてもすぐに目にすることになるであろう書類が診療情報提供書と診断書です。診療情報提供書と聞くと、何のことかわからないという方もいるかもしれませんが、診療情報提供書はいわゆる「紹介状」のことです。紹介状とは、医師が他の医師や医療機関へ患者を紹介する場合に発行する書類のことをいいます。
一方で診断書は、診察した医師が患者の病名や症状を記載した書類のことをいいます。診断書は公的な証明として扱われるため、会社や保険会社から提出を求められることもある大事な文書です。
医療機関でよく目にする紹介状や診断書。医療事務として務めていれば、さすがにこの2種類は知っている方も多いと思います。では次に出てくる文書たちはどうでしょう…….。
医療現場で扱われる様々な文書たち
医療現場では実に様々な書類を取り扱います。ここでは文書の詳細は記しませんが、診療情報提供書や診断書以外にどのような名称の文書があるのかをご紹介します。
医療事務として医療機関に務めていれば、上記のような数多くの文書をすべて目にする可能性もゼロではないでしょう。しかし、ここに記載の文書が全てではないことも覚えておきましょう。
文書によって請求の仕方が違ってくるんですね。
請求漏れやミスを防ぐためにも、必ずすぐに確認するようにします!
これらの文書発行による費用は全国一律ではなく、各病院が設定しているので注意が必要です。自院の文書発行費用はすぐに確認できるようにしておくことをお勧めします。
中でも特に注意しておきたい文書たち
様々な文書の中でも、特に注意が必要な文書がいくつかあります。いざ取り扱う時のために知っておいた方が良いことなので、ここでしっかり確認しておきましょう。
①障害年金診断書・特別障害者手当認定診断書(肢体不自由用)
障害年金診断書と特別障害者手当認定診断書(肢体不自由用)の記載ができる医師は認定医のみです。そのため、主治医が認定医でない場合はこれらの認定医を受診する必要があります。
②指定難病に係る診断書(臨床調査個人票)
都道府県知事の定める医師(難病指定医)のみが記載できます。
【都道府県・指定都市別「難病指定医」一覧(難病情報センター)】
③各保険会社の診断書
保険会社の診断書は会社ごとに様式が異なるので注意が必要です。
ほとんどの患者は、認定医や難病指定医のみしか診断書が記載できない旨を知らずに来院します。自院の医師が作成できる診断書の種類を把握しておくと、患者へ説明する際もスムーズです。
医師が診断書作成を断る例外ケースも
いくつかの例外によっては、医師は診断書の作成を断ることができます。
①患者自身への病名の告知(ガンなど)が拒否されている場合
病名を患者に知らせることが好ましくないため、診断書作成を拒否することができます。
②暴力団の脅しにより虚偽の診断書の作成を強要される場合など
診断書が詐欺や恐喝に不正利用される恐れがある場合は診断書作成を拒否することができます。
③家族や親族、雇用者などの第三者が本人の承諾を得ずに作成を依頼してきた場合
患者のプライバシーや守秘義務に抵触するため医師は診断書作成を拒否することができます。ただし、患者本人の承諾があれば第三者からの作成依頼でも発行することができます。
いちいち文書にビビってはいられない
どの文書でも必ず書き方のマニュアルが存在します。本やインターネット、先輩からの教えなど全てを駆使して書類を適切に処理していきましょう。
もし目新しい文書が目の前に飛び込んできても、冷静に対処することが大切です。それが毅然とした医療事務の在り方であり、不安でたまらないのは医療事務よりも病気や怪我を負った患者の方たちであることを忘れてはいけません。
医療機関ではここで紹介した数よりはるかに多くの文書が存在するので、どんな文書があるのか、どこを参考にすれば作成方法がわかるのか等を予習しておくとよいでしょう。
また医療機関に医療文書作成システムを導入することで、診断書作成の際などに医師の負担軽減や効率化を図ることができます。
一般的に医療文書作成システムは電子カルテと連携されているため、複数の生命保険会社に加入していて入院・通院期間確認書(入通院証明書)を複数枚作成する必要があるときでも、データを引用して容易に作成することができます。さらに毎年作成する指定難病に係る診断書(臨床調査個人票)などは、前回作成した内容がシステム内に保存されているため、変更する箇所のみの修正で作成することができます。
このように事務作業が大幅に軽減され業務効率が格段に上がることから、最近は医療文書作成システムを導入する医療機関が増えてきています。
現在、医療業界で広く知られている医療文書作成システムはいくつかあります。まだ導入していない場合は各医療機関に適したシステム会社を探してみるとよいでしょう
<医療文書作成システムのご紹介(以下はその一例です)>
ニッセイ情報テクノロジー株式会社
https://www.nissay-it.co.jp/solution/medi-papyrus.html
富士通株式会社
https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/healthcare/products/medoc/
必ず自分なりの解決策を見出しておこう
これまでに紹介したように、医療事務や医療スタッフとして医療機関に携わっているとたくさんの文書を扱うことになることを覚えておきましょう。
初見の文書が出てきた時のためにも、解決策をあらかじめ練っておくことが大切です。本やインターネット、自作マニュアルなどを参考にし、どんな文書が立ちはだかっても焦らずに対応することを心がけることでミスの予防に繋がります。また、解決策は独り占めせずに院内でシェアするのもお勧めです。
医療機関で扱う文書は本当にたくさんあるけど、請求に関わる文書を取り扱う場合に最も重要なことは自費請求なのか、保険算定なのか、患者負担ナシなのかということよ。
文書によって内容が異なるから、注意してね。