保険証の確認・入力ミスでレセプト返戻が増加? 気をつけるべき点とは

佐奈美先輩

春子さん。このカルテの患者様、保険証は……

春子

あっ! すいません、確認を忘れていました。忙しくって、つい……

保険証の確認・入力ミスはレセプトの返戻につながり、余計な事務処理の手間がかかってしまう問題の一つです。性別、生年月日、氏名、保険番号、年齢や収入による負担額の違いなど確認事項の多い保険証入力ではミスが起こりやすく、かなりのレセプト返戻率になるため、月初の保険証確認は必須になっています。

もちろん再請求も可能ではありますが、そのための処理にかかる工数は無駄以外の何物でもありませんし、そもそも返戻が起こった際の処理に対応できる人員が限られているため、ひとりに対する工数の集中も問題視されています。

今回はこのような問題を未然に防ぐために注意すべき点、また問題解決に必要な知識をおさらいするため保険証の確認・入力ミスによるレセプト返戻について解説していきます。

レセプト返戻が増えることで起きる問題

まずは、そもそも“なぜレセプト返戻率の増加が問題なのか”をしっかり理解する必要があります。どうせまた再請求できるし…という意識では、事態の改善につながらないためいつまで経ってもトラブルを防ぐことはできません。

レセプト返戻の際には、増減点連絡書(社保)返戻内訳書(社保)増減点返戻通知書(国保)などの連絡書が届きます。先ほども説明した通り、そのような書類を確認し再請求するための事後処理を行える人が限られているため、該当者の工数が無駄に増えてしまうことになります。

また後ほど詳しく説明しますが、レセプトには一度誤った内容で査定されてしまうと取り返しのつかない項目があり、このようなケースが増えればゆくゆくはその医療機関にとって大きな問題となる可能性もあります。このようなトラブルを避けるためにも、レセプトは細心の注意をもって取り扱うべきでしょう。

増減点連絡(査定)には注意が必要!

レセプト返戻については内容の不備と保険証の不備がありますが、とくに「増減点連絡(査定)」には注意が必要です。

A:医学的保険診療上適応とならない回答 (病名抜け)
B:医学的保険診療上過剰・重複となるもの
C:AとB以外で診療上適応でないもの
D:告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの

増減点連絡(査定)には上記のような基準があり、医療機関で勤務しているスタッフはとくにAとBについては非常に過敏になります
病名抜けが見られる場合は請求申請前に必ず抜けをチェックし、医師に病名を確認の上、内容の補填が必要になります。ただし、一度査定されてしまった分に関しては手の施しようがありません

専門家からのひとこと

例えば「関節空内注射(アルツディスポ関節注25mg)」を膝に施行した場合。「変形性膝関節症」の病名がなく「膝関節痛」のみになっていると、この注射分が差し引かれた金額のみしか医療機関へ入金されないなど、本来医療機関側が得るべき金額を受け取れなくなる“未収金問題”に発展してしまいます。

項目によっては再請求が行えない場合も…

先述の通り、レセプト返戻のミスには取り返しのつかないケースも。上記のように病名抜けで一度査定をされてしまった場合、病名を後付けすることは出来ません。(※)そのため、一度誤った内容で査定されてしまった項目については、内容についての納得できない項目がある場合を除き、再請求をして追加分の金額を受け取るといった対応もとれないのです。

一度のミスを見ると大した金額ではないと思えるかもしれませんが、このようなケースが増えてしまえば、病院にとっては大きな損害が生じかねないということは想像するに容易いでしょう。

まとめ

ここまでに説明したように保険証の確認・入力ミスは、その後の対応による手間を2倍にも3倍にもしかねないトラブルの種になります。ちょっと間違えただけでは済まないような事態に陥ることもありえるので、ただでさえ忙しい業務を増やさないためにも、月初の確認の徹底を心がけることが重要です!

また、このような事態が増えすぎて返戻再請求をしそびれてしまう…なんてことが起こると“未収金”にも発展しかねません。余計な仕事を増やして日々の業務を圧迫しないためだけでなく、大げさにいえば病院の存続のためにも気をつけておきたいポイントです。

ここまでに説明したようなさまざまな問題を未然に防ぐため、スタッフ全員が日頃から高い意識を保てるような体制づくりを目指しましょう。

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