医療事務のいろは【電話対応】

医療事務としてクリニックや病院に勤めはじめた新人の頃に、誰しも経験をするのが電話対応です。しかし実際には電話対応が大の苦手という方は多いものです。電話対応が苦手な場合は、とにかく慣れることが大切です。また、電話対応にも様々な内容があるので前もって知っておくと心の余裕ができるでしょう。

電話はクリニックの顔!

まず一番大切なことは「電話に出る人の印象=クリニックの印象」になることを念頭においておくことです。声や話し方で心は伝わってしまうものなので、電話越しでお互いに姿が見えないからといって油断してはいけません。たとえ電話越しでも感じよく応対することが最も重要といえます。

ここがポイント

電話対応の心構えとともに、電話操作の方法も覚えておきましょう。電話機によって操作方法が異なるため、わからない場合は先輩などに確認しておくことをお勧めします。保留・転送・保留解除・転送先が不通の場合・内線のかけ方・外線のかけ方などは最低限知っておいた方がよいでしょう!

電話対応の内容はさまざま

医療機関にかかってくる電話の内容はさまざまですが、よくあるのは主に以下の3つです。

受診依頼

患者やその家族からの受診依頼の電話は頻繁にかかってきます。

問い合わせ

救急時など受診予約以外の患者からの相談、各種業者からの電話などがあります

調剤薬局から

処方箋の内容に関しての問い合わせなどで調剤薬局からもよく電話がきます。

次からはそれぞれを詳しく解説していきます。

受診依頼の電話対応

受診依頼の電話は“当日の受診希望”と“受診予約”の二通りがあります。

■当日受診希望の場合

その日のうちに受診を希望する患者から電話があった際は速やかに当日の予約状況を確認し、受診可能かどうかを確認します。総合病院や複数の科があるクリニックの場合はどのような症状で受診するのか(何科の受診になるのか)、何時頃の来院を希望するのかなどを聞き漏らさないようにすることで何度も保留にしてしまうような二度手間を防ぐことができます。当日受診が可能かどうかが確認できたら、保留を解除してすぐにご案内しましょう。

■後日の受診予約をしたい場合

受診の予約を取りたい患者からの電話の場合は、いつの受診を希望するのか(日程および時間)、どのような症状で受診するのかなど予約の内容を確認し、初診なのか再診なのかを必ず伺い、空き状況を調べた上で予約を承ります。予約間違いのないよう、電話の最後に予約日時を復唱するとよいでしょう。

問い合わせの電話対応

問い合わせの電話の内容は実にさまざまです。

【医療機関の問い合わせ電話にあり得る主な内容】
  • 今から受診したいが、どのくらい待つのかという急ぎの問い合わせ(すぐに受診したいので待ち時間が気になる患者からの電話)
  • 昼休憩時や夜間など時間外に受診したいという相談
  • 直接医師と話がしたいという患者からの電話
  • 病院や医師、看護師、受付などに対する苦情・クレーム
  • 医療機器メーカー、製薬メーカーなどからの営業電話
  • 救急の際などに救急車を呼ぶべきかなどの判断を仰ぐ電話
  • 時間がないので今すぐ診てほしいという患者からの相談
  • 痛みが強くなってきた・腫れてきたのでどうしたら良いかなどの問い合わせ

電話対応をする医療事務は予め、どのような内容なら自身で判断・対応可能かどうかを認識しておくことで速やかに返答することができるほか、医師や上の人の確認が必要な内容の場合には速やかに伝達することができます。

はるこさん

医師の指示が必要な場合でも、担当医と内線が繋がらなかったり、医師の手が離せなくてすぐには返答がもらえなかったりした場合はどうしたらいいのですか…?

さなみ先輩

医師からすぐに指示をもらえなさそうな場合は、必ず折り返しにすること。その際は折り返し先の電話番号やフルネーム、当院を受診したことがあるかなどを漏れなく聞き出しておくことが重要よ!

調剤薬局からの電話対応

医療機関には患者以外に調剤薬局からの電話もよくかかってきます。調剤薬局からの電話は処方内容の確認や変更といった内容がほとんどです。

<処方内容確認・変更の主な例>

残薬調整

家にある手持ちの薬の残り日数と次回受診日までの合算で薬の量を調整し、処方日数を変更する場合があります。

飲み合わせによる変更

他の医療機関で処方されている薬との飲み合わせが悪い場合(禁忌薬)、その薬を変更または処方を中止する場合があります。

薬の処方内容自体は医療事務でもカルテで確認できますが、処方内容変更の場合は必ず医師の判断が必要です。処方医を確認し、必ず医師の指示を仰ぎましょう。処方医に確認後、処方内容が変更になった場合は変更内容をカルテに記載します。

また医師は過密なスケジュールで患者の診察にあたっていることが多いため、同じ要件で何度も時間を割いてもらうわけにはいきません。そのため、調剤薬局からの処方内容に関する問い合わせの場合は、患者の氏名(フルネーム)と要件をしっかりと聞いた上で処方医に確認することを忘れないようにしましょう。

電話対応のポイント!まとめ

●冒頭にもあったように「電話に出る人の印象=クリニックの印象」になるので、実際に目の前にいる患者と話している感覚で話しましょう。優しい声で感じの良いトーン、はっきりとした口調で話すとよいでしょう。

●大事なのは「電話をかけてきた相手は誰なのか」「誰にどんな用事があるのか」を明確に聞き取ることです。覚える自信がない場合は必ずメモを取りましょう。

●電話の相手が患者の場合は必ずフルネームを聞いておくことで、同じ名字による人違いや何度も電話越しに質問してしまう二度手間を防ぐことができます。

●電話の相手が調剤薬局の場合は「どこの薬局」で「どの患者の処方内容」についての問い合わせがしたいのかを確認しましょう。これらが明確でないとカルテが特定できず医師にも詳細を確認することができません。

●電話対応に慣れないうちは「相手が話した内容をメモする」「電話を切る前に内容を復唱して間違いがないかを確認する」などの対策でミスを防ぎましょう!