医療事務のいろは【レジ対応】

医療機関での重要な業務の一つにレジ対応があります。どの医療機関でも必ずある業務なので、医療事務に就いたらまずレジ対応を覚えなくてはなりません。

最近では、医療機関によってさまざまな支払い方法があるので注意が必要です。そこで今回は医療機関のレジ対応について説明します。

医療機関のレジ対応とは?

医療機関では他のサービス業などと同じように会計があり、患者との金銭のやり取りがあります。以前は現金での支払いが主流でしたが、最近では医療機関でもキャッシュレスで対応できることが多く、その支払い方法もさまざまです。

医療機関では保険診療でも自由診療でも窓口での会計が発生します。たとえ医療証を持つ子どもで医療費が0円でも会計は通すこととなるので、来院した患者は全員会計に来ることになります。

レジの種類と支払い方法

医療機関によって設置してあるレジの種類は異なります。一般的なレジの種類は以下の3つです。

  1. レジスター
    レジスターとは金銭登録器のことで、スーパーマーケットや飲食店などの会計でも見かける計算と登録、お金の収納といった機能だけを持つシンプルなレジです。
    最も簡易的なレジといえますが、すべて手動で金銭の受け渡しをするため、レジ締めの際に売り上げ額と現金合計が合わなくなることがあるのがデメリットです。
  2. POSレジ(※)
    POSレジとは、金額を打ってお金を保管するという単なるレジスター機能だけでなく、レジの会計情報と連携して販売情報が管理できるレジのことをいいます。
    金銭の授受がすべて自動判定されるため、預かり金やお釣りの間違いがなくなります。
    ※「Point Of Sales」の略。日本語では「販売時点情報管理」
  3. 自動精算機
    (クリニック向け)自動精算機とは、ネットワークを通じてレセプトコンピューター(レセコン)や電子カルテと自動連携し、会計だけでなく診療明細書の発行や領収書の発行、システムへの入金登録など一連の会計業務を自動化することができるレジのことをいいます。
    自動精算機は会計担当者が不要というメリットがあります。患者がセルフサービスで医療費の支払いに対応するため、院内の感染対策にも有効な支払い方法です。

このようにレジの種類は3通りありますが、支払い方法もさまざまなのでこれらも覚える必要があります。

どのような支払い方法を取り扱っているかは医療機関によって異なるため、自身がお勤めのクリニックが扱う支払い方法を把握し、それぞれの取り扱い方法を学んでおきましょう。

  • 現金
  • クレジットカード
  • 交通系IC
  • その他(電子マネーなど)
  • 医療費後払いサービス(※)
    ※会員登録をすることで口座振替や電話料金とまとめての支払いなどを利用し、ひと月分の医療費をまとめて支払えるサービス。患者は会計待ちや支払い行為をせずに処方箋だけもらってすぐに帰ることができる

さなみ先輩

金銭授受のトラブルを防ぐためにも、患者さんから預かったお金はお釣りを返して患者さん自身がしっかりと確認するまで、レジの中に入れない方がいいわよ。

はるこ

そうですね!確かに「いくら支払ったか」「お釣りをいくら渡したか」などは互いに授受した金額を勘違いしたり間違えたりする可能性がありますし、窓口会計でお金のトラブルになったら大変ですもんね…。

レジの会計日報(日計表)の作成

会計日報・日計表とは、窓口会計において患者から受け取った金銭の収入を1日毎にまとめる集計表のことです。1日の終わりのレジ締め時に請求した金額と入金処理があっているかを確認するため、会計日報・日計表を作成します。

使用しているシステムによってはレセコンから出力できることもありますが、出力できない場合は手書きやエクセルなどで作成する必要があります。会計日報・日計表の金額は最終的に月計表に転記することとなるので、金額などに間違いのないよう管理しておくことが重要です。

ここに注意!

会計日報・日計表の金額と、窓口会計で受け取った現金の合計が一致しなくてはなりません。クレジットカードなどのキャッシュレス支払いを導入している場合はそれらを差し引くなどして計算します。未収の患者がいる場合はその原因を特定し、きちんと回収できるように管理しておく必要があります。

診療報酬の出どころはさまざま

医療機関では自己負担分で支払われる収入のほかに診療報酬での収入がありますが、医療機関に支払われる診療報酬は保険の種類などによって出どころが異なります。

▼社会保険の場合

患者からの自己負担額と支払基金(社会保険診療報酬支払基金)からの診療報酬が医療機関に入ります。

イメージとしては患者が窓口会計で自己負担額を支払い、診療報酬の部分は医療機関がレセプトを作成して翌10日までに支払基金へ請求し、医療機関に収入が入る仕組みです。

▼国民健康保険の場合

患者から支払われる自己負担分と国保連合会(国民健康保険団体連合)から支払われる診療報酬で医療機関に収入が入る仕組みです。

▼自由診療の場合

自由診療の場合はどこの機関も通さず、患者が全額自己負担で支払うことで医療機関に収入が入ります。

医療機関のレジ対応は慣れるまで大変です

ひとえに簡単なレジ作業といっても、医療機関のレジ対応は慣れるまではかなり頭を使うので大変です。実際の医療現場では会計待ち時間が長くなるとプレッシャーを受ける場合もあるため、余計に神経を使うこともあるでしょう。

また、患者の手持ち(現金)がない場合も未収などのトラブルになりやすいため、予め対策を確認しておくとよいでしょう。

何事もわからないことをうやむやにしておくのは良くないですが、レジ対応は特にお金が関わる業務なので不明な点や疑問は必ず先輩に尋ねることが重要です。

参考文献・参考資料