診療報酬請求書と診療報酬明細書(レセプト)を作成して審査支払機関に提出する「レセプト業務」。このレセプト業務が出来てはじめて医療事務として一人前!と言われるほど、医療事務にとってレセプト業務は大切です。しかし、レセプト業務に携わると月末月初が非常に忙しくなるのも事実。医療機関によってレセプト業務の内容は異なりますが、大まかな月末月初の仕事内容をご紹介します。
目次
医療事務の繁忙期
医療事務の繁忙期はだいたい月末〜月初(翌月10日頃まで)です。なぜなら、審査支払機関へ提出するためのレセプト業務があるからです。このレセプト業務を行わないと、医療機関は報酬を受け取ることができません。
医療機関によっては毎月25日頃から忙しくなったり、月末の30日・31日あたりから忙しくなったりと様々ですが、通常は毎月10日にレセプト提出を行います。ただし、医療事務でもレセプト業務を行わないポジションの仕事内容であれば月末月初が繁忙期になるとは限りません。
月末月初のレセプト作成
月末月初のレセプト作成は確認することがかなりたくさんあるので時間がかかります。そのためレセプト業務に携わると、月末月初は残業になることもしばしば見受けられます。
《レセプト業務の主な内容》
生活保護の受診者がいた場合
生活保護の受診者がいた場合は、医療券の確認をします。医療券が医療機関に届いているかを確認し、もし受診した生活保護者の医療券が届いていない場合は生活保護の患者を担当する福祉事務所に電話し、医療券を発行してもらう必要があります。
毎月決まった日付で一斉に医療券を発行する福祉事務所も多いので、医療券が届いていなかった場合は福祉事務所に確認するとよいでしょう。ただし、福祉事務所は基本的に平日の朝から夕方までしか電話が繋がらないので注意が必要です。
医療券が届いたら「被保険者番号」と「受給者番号」の変更がないかを確認し「交付番号」をレセプトに入力します。この交付番号は毎月変わるので気をつけましょう。
そのほかのレセプト業務
そのほかのレセプト業務として、月遅れ(請求保留)にするレセプトがないかを確認したり、記載されている診療内容と傷病名などに整合性が取れない場合は医師に確認を行う必要があったりします。
またレセプトの点検業務といった、レセプトの入力ミスや内容の不備がないかをチェックする作業もあります。レセプト内容に誤りがあると返戻や査定などが発生し、医療機関の収入だけでなく信用性に影響が出てしまうため、レセプトの点検業務は非常に重要な業務といえます。
そうなんですね!今はレセコンを導入している医療機関も多いと思うので、少しはレセプト業務の負担が軽減されているんですね。
そうね。これでも昔に比べるとレセプト業務は随分スムーズになったのよ。
完璧にレセプトが完了したら審査支払機関に作成したレセプトを提出して、ここではじめて月末月初のレセプト業務の完了よ!
豆知識 〜審査支払機関について〜
医療機関と保険者の間には医療機関から提出されたレセプト(診療報酬請求書)の審査を行う「審査支払機関」が二つあります。
①社会保険診療報酬支払基金(支払基金)
保険者が社会保険(全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合等)の場合と生活保護の場合に医療機関への診療報酬の支払仲介を行う。
②国民健康保険団体連合会(国保連:各都道府県に1団体ずつ計47団体)
保険者が国民健康保険(市区町村、国保組合等)の場合に医療機関への診療報酬の支払仲介を行う。
月末月初の残業や土日出勤が気になる場合は・・・
医療機関によって異なりますが、医療事務でレセプト業務を担っていると月末月初は休みが取りにくいのは事実。さらには月末月初が土日祝の場合や年末年始、GWでも出勤になることがあります。
休みが取りやすい医療機関で働きたい場合は、そもそもレセプト業務を行わない医療事務の仕事を選ぶとよいでしょう。最近はレセプト業務は別の専門業者に依頼し、受付業務だけを医療事務が担う医療機関もあるようです。
また、パートや契約社員の雇用形態で働くことで残業や休日出勤を避けられることもあります。正社員の医療事務が居ない場合はパートや契約社員がレセプト業務を行うこともあるので、面接時にきちんと確認することをお勧めします。レセプト業務は担ってもよいけれど残業時間が気になるという場合も面接時に確認するとよいでしょう。
レセプトの点検が全て終わったらレセプトを審査支払機関に提出するための仕分けや取りまとめを行うんだけど、これを「レセプトの総括」って呼んでいるわ。
レセコン(レセプトコンピュータ)を導入している場合は、編綴(へんてつ)作業や診療報酬請求書の作成などの総括作業を自動でできることもあるのよ。